十九歳の秋、「水出し珈琲の喫茶店」に強く憧れを抱いていた私を受け入れてくれたのは、
JR西国分寺駅(東京都国分寺市) にある「クルミドコーヒー」というカフェでした。
その後結婚出産で離れたり戻ったりしつつも
累計十年弱クルミドコーヒーで働かせていただきました。
当時の私は所謂「生意気で勝気な娘」でした。
そんな私に厳しくも優しい愛情を向け続けてくれたのが店主の影山さんでした。
影山さんは一人一人の存在とちゃんと向き合い、
「その人らしさで光らせてくれる」 そんな存在だと感じています。
働いているうちに目の前の仲間たちにどんな魅力や可能性が隠れているのか、
自分にはどんな可能性が隠れているのか、そんなことを私も考える様になりました。
私の今の人格や価値観・人との関係性の築き方は、クルミドコーヒーで培ったと言っても過言ではありません。
クルミドコーヒーで働き続けて感じてきたコト。
それは「個と個が集まることで生まれる素敵」でした。
一つ一つのメニューを生産者や、お店のスタッフみんなで作り上げていく感覚や
妥協する事なく作り出された小さく繊細なモノコト、その一つ一つがお店の世界観を作っていること。
一人ひとりの小さな個性と発想を潰し合う事なくみんなで大切にする事で育っていく空間。
そしてそれに刺激されて共に育っていく町や仲間たち。
ひとつの小さなカフェを拠点に多様な刺激を受けて育つ町、
それはとても魅力的で、未来の可能性に満ち溢れていました。
もちろんそこにはたくさんの出会いと別れ、 喜びと苦労が共存していて、
時にはやるせない気持ちになることだってあります。
それでも、そんな時を共有した仲間そして町は、
それぞれにとって今までよりもっともっと掛け替えのない
「かえる場所」になっていると思います。そして私も然り。
物理的な距離は遠くとも、いつも私の側で勇気づけてくれる。そんな場所です。
私は、身寄りもなく引っ越して出会った大崎町とのご縁や、人との出会いをこれからたくさん育んでいきたい。
そして、この町で生まれ育った地元の方と私のような移住者にとって、隔たりのない「個と個が集まることで生まれる素敵」を共に共有していきたい。
一杯の珈琲をきっかけにして大崎町に老若男女関係なく刺激しあえる新しい文化拠点。
そしてこれから出会う誰かのかえる場所、サードプレイスを作りたい。