まず初めに、
この度石川県能登半島地方を震源とする地震により被害を受けられた皆さまに、
心よりお見舞い申し上げます。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
ご遺族に心からお悔やみ申し上げます。
また、被災地域の1日も早い復興をお祈りいたします。


私の大切なKOME kaffeeのロゴについてお話ししたいと思います。
ロゴにはあるカップが描かれています。
とても特徴的な形をしたこちらのカップですが、実は実在する珈琲カップをかたどっています。

すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
モデルはこのページの上部写真に写っているとても素敵な漆のカップです。
こちらの漆のカップは、石川県能登半島にある輪島という町で作られています。
そしてこの珈琲カップを作られているのは

「輪島キリモト(http://kirimoto.net/)」という本当に素敵なモノづくりをされている工房です。
「輪島キリモト」の歴史はなんと200年以上…

先日NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも [能登のプロフェッショナルたち] が放映されました。

なぜ私がこちらの漆のカップを描いているかという話は2017年に遡ります。
私の当時の焙煎は50g単位でしか生豆を煎る事のできない小さな手振りの焙煎機でした。
ある日、将来お店を持ちたいと子供の頃から思い描いていた私はロゴを作成しようと試みました。

当時の私はとても無知で、幼いころから日本の伝統的なモノやカタチがただただ大好きでした。
珈琲屋なのだからロゴには珈琲カップを入れたいなとおもむろに食器棚をのぞきました。
珈琲カップのたくさん並んだ棚の中には、少し前に出会った「輪島キリモト」の漆の珈琲カップもありました。
そしてそのカップを見ていると、自然とその漆のカップを使って初めて珈琲を飲んだ時の感動に再び駆られました。
すっと自然に口へ入ってくる本当に素敵な飲み口、それと共に珈琲を飲む時間が贅沢でじっくり過ごせる気持ちに溢れたことを思い出し「このカップでロゴを作りたい。」という単純で純粋な思いになりロゴを作成したのでした。

オンラインや店舗としてまだ何も活動をしていなかったのですが、Instagramにそのロゴを載せたところ
すぐに「輪島キリモト」の七代目、桐本 泰一(きりもと たいいち)様からご連絡がきました。
私はその時初めて「意匠」という言葉を知り、自分の伝統的なモノづくりへの(受け取り手としての)思いと、浅はかだった気持ちに当時の自分の精一杯の言葉で謝罪をしたところ。
桐本さまから思いも寄らないご提案を受けたのでした。

それは、「マーク意匠:輪島キリモト」と入れてそのままロゴとして使用することへのご提案でした。
この無知な若者の失礼極まりない行動を、許していただいたこと。
そしてこの出来事自体を「貴重な出会いを大切にしたい」と仰って下さった輪島キリモトの桐本さまに心から感謝しました。

この出来事を通して、私はこれから先もいつまでも正直でいること。きちんとした知識を学ぶこと。
そしてこのロゴに決して恥じないような芯のある「焙煎」をつづけていくことを決意しました。
私の手元にある漆のカップは出店の時や焙煎の時にいつもお守りのようにそばに置いています。
珈琲豆の袋の裏面などにも「意匠:輪島キリモト」と書いてあるのでよろしければ見てみてください。


今回の震災を経て、たくさんの想いが溢れました。
今も何か自分に輪島の方達や、輪島キリモトのみなさまにできることはないかと葛藤しています。
能登半島がまだまだ大変な中、私自身としては店舗を構えることになり複雑な気持ちですが
そんな今だからこそ出来ることはないかと思い、この度店舗に使用する珈琲カップに「輪島キリモト」のカップをいくつか用意したいとも思っています。
本当に素敵な飲み口で店舗に足を運んで下さったお客さまにもぜひ体感していただきたいです。

もしこれをご覧になられている方の中で、カップの購入へのご支援をご希望の方がいらっしゃいましたら
備考欄に「輪島キリモトの珈琲カップ用に」と一言添えていただけると幸いです。
今できることを出来る場所から、物理的な距離は遠くともいつも心を寄せています。

そんなロゴのお話でした。


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